ダマスカスまでの飛行中,今後の予定を考える。下界のお天気やいかに?数日前の予報では雷雨だったが。 ドバイから3時間半でダマスカス着。 |
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入国管理は二人がかりでパスポートを調べられ,いつもより緊張の雰囲気。入口も狭い。というか,低い。入国カードにちゃんと書いたのに,「職業は?」「シリアでの住所は?」と厳しい。しかし,特に問題なく入国できた。 税関では逆に,申請書にまじめに書いたのに,Nothing to declareの方へ行くと,紙を見せろとも言われず,「いいよ通って」ってなかんじであっさりだった。 ロビーに出ると,出迎えの人でごった返している。まずは両替しなくちゃ。 Hertzレンタカーのホームページには,空港に事務所があると書いてあったのに,Europe Carのオフィスしかない。肝心の両替所も見つからなくて,あまり広くもないロビーを歩き回り,5往復目ぐらいでようやく発見した。Europe Carの看板に『Bank』と書かれた小さな紙切れが引っかかってるのを。Europe Carオフィスの隣は瓦礫の山で,工事中らしかったが,その場所が銀行だったのだ。Europe Carのオフィスのおじさんと目があって(というか何度もうろうろしてるから,さすがに気になったのか)「Bank?」と聞いてくれた。どうやら,レンタカーオフィスが両替所も兼ねているらしい。囲いもない,レートの看板も何もない,こんな開けっぴろげなとこで。レンタカー事務所というのさえ看板がないとわからないぐらい,何もない殺風景なデスクなのに。頑丈な檻に囲まれ,お金の受け渡しは細い隙間を通してやりとりする,そんな他国の両替屋さんのイメージに比べ,なんと大らかなこと。ここでは,強奪するような人はいないってことだ。 |
![]() シリア入国カード 『Wife』『Children』の欄がある。ここに書くのは,名前?人数?妻が4人いる大家族のムスリマだと,全員は書ききれないに違いない。 |
とりあえずUS$60を3,077SP(シリア・ポンド)にexchange。 それにしても,この空港ロビー,店が少なく,目立った看板もなく,慌しい雰囲気もない。全体的に古ぼけて殺風景で,国一番の国際空港とは思えないほどのんびりしている。 ロビーから外に出て右手,市街地へ行くバス停へ。BUSともなんとも書いていない。おそらくアラビア語では書いてあるのだろう。停留所には,人が数人たってるだけで,看板もバスも時刻表らしきものもないので,バス停と知らなければ素通りしてしまいそうなところ。
彼は何かと話し掛けてくるが,聞き取りにくい英語を話す。多分,『r』が巻き舌すぎてわからないのかも。大学2年で経済を勉強中なんだって。「私はcomputer engineerよ。」と確かに言ったはずなのに,「jobは?」と聞いてくる。もしかして,まさか,computerって単語を知らないのかしらと思い,もう一度「computer engineer」と答え,おずおずと「コンピュータって知ってる?」と聞くと,『まさか,馬鹿にしてるの?』とちょっと怒りの混じったような笑顔で,「知ってるよぉ」。
「No, thank you」ときっぱり答えると,「そう,君は何でも一人でできるのね…。」とちょっと寂しげだった。彼は,ダマスカスまでは行かず,途中で降りていった。 『バスの終点は,30分後にマルジェ広場』と思い込んでいたので,広場とも思えないごみごみした所に20分程で着いて降ろされた時には,バスが故障しちゃって乗り換えることになったんだろうか?なんて突拍子もないことを考えていた。乗り換えるバスはどこ?ときょろきょろしていると,どうやらそこが終点のバスターミナル,バラムケ(ガラージュ・バラムケ)らしかった。 気を取り直し,スルタンホテルへ。思ったより質素だったが,安心できる宿だというので,部屋が決まって一安心。とりあえず外に出てみる。
Trojan horse(トロイの木馬。有名なコンピュータ・ウィルスの一種)という,なんとも恐ろしいネーミングのインターネットカフェに入ってみた。
まずは,ヒジャーズ駅周辺をうろうろしてみる。
駅前のシュワルマ屋さんで,夕食。おじさん,クリームつけてさらに肉を大盛りにしておまけしてくれた。で,これこれここに座りなされ,と店の椅子を勧めてくれた。アラビア語会話集を探して,「ラジャーズ(おいしい)」って言ったのに,通じてないみたい?ラジャーズはエジプト方言なんだろうか?
街中には信号があまりなく,ロータリー形式。これは,シリアが昔,フランスに統治されていた名残なのだろう。おまわりさんが,ロータリーの中で交通整理している。車の波はどんどん押し寄せるので,渡るタイミングが難しい。でも,見てると足の悪いおじいさんでも子供でも,するすると問題なく渡っている。
ホテルに戻ると,受付は,愛想の良い年配のおじさんに変わっていた。シリアで発掘調査をしている東大の教授が,ここを定宿にしているらしく,おじさんは,その教授からの寄贈の時計と本を見せてくれた。アレッポの北の方で10000年前のネアンデルタール人の子供の骨を発掘したんだって。1万年だって!?すごいねえ。その東大教授のおかげで,おじさんも親日家になったのかな?おじさんは,その遺跡の場所を教えようとして,食堂に貼られている地図の前に私を連れて行った。そのシリアの地図は,私の本の地図とは国境線の位置が微妙に違う。イスラエルとの国境地帯を互いに自国の領土だと主張しているのは知っているけれど,トルコともそうなんだ?地中海に面した海岸線のトルコとの国境線が,壁の地図ではガイドブックの地図よりも北(トルコ)寄りに引かれている。そうは言っても,その地図を信じてアレッポから西へ突き進んでも,多分国境に阻まれてしまうのだろう。なんだか不思議。 おじさんに,東大教授著作の本を借りた。二晩で読んでみようと思ったけれど,眠くて眠くて,21:30には寝てしまう。 |
コラム:トイレ事情 |
シリアのトイレは,和式トイレに似ていて,前方の金隠しがない形である。その穴にしゃがんで,使用後は紙を使わず,水で洗う。だから,紙の代わりに蛇口や蛇口につながれたホースがあったりする。このとき,イスラム教徒であれば,『不浄の手』とされている左手を使って体を洗う。手動ウォシュレットだ。汚れさえ落としてしまえば,乾燥したこの地域ではすぐに乾いてしまうから,水分を拭き取る必要はない。 水ではなく,地域によっては,砂漠の砂を使うという話もある。確かに,砂漠の砂は粒が細かく,さらさらしていてそれほど痛くはなさそうだし,乾けばぽろぽろ落ちてくるから,慣れれば爽快かも!? 郷に入っては…ということで,私も,左手を使ってホースの水で洗おうとしたけれど,慣れないので難しい。ま,密室でどっちの手を使おうが構わないし,そもそもイスラム教徒でもないんだからいいか。 |
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<このページの最終更新日:08/10/30 >