スピーカーから町じゅうに響くアザーン(礼拝の呼びかけ)の音で目覚める。5:00。このまま起きて,借りた本を読もうか一瞬迷うが,二度寝を選んだ。次に目覚めたのは7:00。すっきり。よく寝た。21:30から9時間半も熟睡。日本時間では,今14:00。さすがに起きるはずだよね。 朝食をとりに,食堂へ。4人がけテーブルが1つだけあいていたので,そこに座った。食堂のおっちゃんに,「サバーフルハイリ(おはよう)…」って言ったが,無視された。声が小さくて聞こえなかったのかも?というか,こっちを見てもいない。無愛想なだけかと思ったら,後から来た人には,自分から「モーニン」って言ってる。感じ悪ーい。 席を譲った女の子とクレオパトラは,べらべらとおしゃべりを始めた。英仏でないことはわかるが,西でも独でもなさそう。もしかしてポルトガル語か?さらにそこへ,もやしのような若い男登場。ここに座っていい?と,他の二人に聞きつつ,クレオパトラの横にきた。彼は仏語圏出身らしく,私の左の女は,今度はクレオパトラそっちのけでモヤシ君と話し始めた。仏語がわからないで放置されたクレオパトラは,つまらなそうにしている。 食堂の向こうの談話室のテレビは,CNNニュースを流している。へえ,意外。シリア国内で大統領に批判的なことを言えばすぐさま秘密警察に連行されるなんて話があるほどなのに,外国からの,しかもお世辞にも仲がよいとは言えない米国のニュースをテレビで放送していることに驚いてしまう。 チェックアウトタイムが14時なので,荷物はそのままにして,スーク
ハミディーエへ出かけた。スーク
ハミディエは,ダマスカス一の市場だ。 もう9時だというのに,店はまだ開店したばかりか準備中。左右からかかる「コンニチハー」(日本語)の声を無視してアーケードの真中をすたすた歩く。 ウマイヤドモスクに行き着いた。開門を待って並んでいる人々をスケッチしていると,カーキ色の制服の男の子たちがそろそろと近寄ってきて,手元を覗き込む。カーキ色は,学校の制服?軍隊ではないよね? 9:35開門。待っていた人々がわさわさと入っていく。外国人観光客用の門はまた別の所にあるらしいので,私はとりあえず近くのアゼム宮殿へ先に行くことにした。 宮殿を出た所に水場があり,人がかわるがわる水を汲んだり飲んだりしていた。私も列の後ろについたら,前の人が自分のコップに水をついで渡してくれた。こくこくと飲んで返す。「シュクラン(ありがとう)。」 新約聖書の『パウロの回心』の逸話で有名な『まっすぐな道』へ。東門まで歩く。途中,シリアの地図を見つけたので買った。英語表記だ。しかも2002年版で新しい。 ずっと先まで見渡せるまぁぁっすぐな道を想像していたのだけれど,想像とはちょっと違った。この『まっすぐな道』沿いには,キリスト教の教会もある。
『パウロの改心』のパウロが迫害され,ここからダマスカスを抜け出したという東門をぐるっと周って眺め,ここでUターン。帰りは,Old Town旧市街を気ままにうろうろ歩いてみ た。 『まっすぐな道』を歩いていて目に付くのが,肉屋さん。包丁をダンダンと勢いよくまな板に叩きつけ,肉をミンチにしている。ミンチってそうやって作るの!? つい肉屋さんを見かけると覗き込んでしまう。別の肉屋では,ハンドルをゴリゴリと回してミンチを作ってるのが面白くて,ガラス越しに見ていたら,「入りな」って言ってくれた。はかりに天秤を使ってる。なんだか懐かしい。ミンチ機も天秤も,そういえば,子供の頃にお肉屋さんで見た光景だ。 |
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狭い店の中に,大きな肉の塊が天井からぶらさがり,あとは作業台とミンチ機と。割とシンプル。 裏道に入ってみた。Old townは迷路のよう。このくねくねに比べれば,表の道が『まっすぐな道』と形容されるのも頷ける。 パン屋さんをチラッと見ると,おじさんが「寄ってけ」と手招きをする。おじさんとその息子二人?もしかして弟子?中学生のように若い。かわいい。 |
なぜか店の軒先に鳥かごを吊るしている店が多い。鉱山でもないのに,なんの意味があるの? |
きれいな刺繍の織物やじゅうたんが並べられている。 |
お茶を飲みながら,店の前の人々をのんびり眺めている人が多い。ヒマ? |
ホテルへ戻る道すがら,スーク
ハミディエの隣の市場を通ってみた。ここは観光客用というより庶民の台所という感じで,生鮮食料品が店頭に並んでいる。頭,腸,肉,足,とバラバラになった羊が
一頭分丸々飾られていて,思わず見入ってしまう。余すところなく,といった感じ。 どこまでいっても市場が途切れない。あれ?道に迷ったかな? 白い手袋をして交通整理していたカーキ色の制服のおまわりさんに,「ヒジャーズ駅はどこ?」と聞くと,てっぺんにKENWOODの看板を掲げた高いビルを指して,「あの下あたりがヒジャーズ駅だからあれを目指して行きなさい」と教えてくれた。「ここからだと,そこを曲がってまっすぐだよ。」「ありがとー!」 |
コラム:ファティマの手 |
![]() ファティマは預言者ムハンマドの娘で,ファティマ王朝第4代カリフの妻であり,献身的な女性として庶民から慕われた。 聖女ファティマの手は,災いや病魔を防ぐ護符としてのシンボル性を持ち,扉のノッカーのほかに,扉内側の飾りやアクセサリーなどにも用いられている。 『不浄の手』である左手でありながら,聖女ファティマの手は,災いを防ぐありがたいものと信じられているというのも,また不思議。 |
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<このページの最終更新日:08/10/30 >