アメリカ東部 '77/3/24〜4/6

父の仕事の関係で、割引航空券を入手できることになり、春休みを利用して家族でアメリカ旅行へ。ニューヨーク、ワシントン、シェナンドア国立公園、ナイアガラの滝などに行きました。
羽田が唯一の国際空港であった20年以上前の話、アメリカもまだそれほど身近ではなくて、日本にはマクドナルドが上陸してまもない頃。初めての2週間の異国体験は、当時小学生の私には衝撃的でした。見るもの聞くものすべてが驚きと感動の毎日でした。この時の体験が、知らない街へ行っていろいろなものを見たいという異文化への憧れをはぐくみ、せっせと旅行にいく今日の私をつくりあげたといっても過言ではありません。

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日にち

行程
1 3/24木 20:30羽田発20:00ニューヨーク・ケネディ空港着
2 3/25金 観光バスでマンハッタン巡り。ウォール街、国連本部前、中華街、自由の女神、エンパイアステートビル
3 3/26土 ワシントン。タクシーで市内観光(ポトマック河畔、アーリントン墓地、国会議事堂、ワシントン塔、ジェファソン記念館、リンカーン記念館、ホワイトハウス)
4 3/27日 レンタカーで博物館めぐり。歴史科学館、スミソニアンへ。
5 3/28月 ⇒リッチモンド
6 3/29火 ⇒ウィリアムスバーグ
7 3/30水 ⇒シェナンドア国立公園⇒ワシントン⇒ニューヨーク
8 3/31木 近代美術館、メトロポリタン美術館
9 4/1金 一日空港で待機
10 4/2土 ⇒バッファロー方面へ。
11 4/3日 ⇒バッファロー、ナイアガラの滝⇒
12 4/4月 ⇒ロングビーチ
13 4/5火 ニューヨーク⇒
14 4/6水 16:30羽田着

77/3/24木
本当にアメリカに行けるとはまだ信じられずに、しかし飛行機はアメリカ目指してもう東京の空を飛んでいた。夜景がとてもきれい。東京を発ったのは夜なのに、空の上には太陽があって、ずっと明るかったので時間の感覚がわからなくなった。緊張していたのか、気分が悪くて食欲無く、おいしそうな機内食を一度さげてもらったが、この後はもう出ないと言われてまた出してもらったり。スクリーンでは、男の人が犬に変身するコメディの映画を上映していた。水が欲しくて、何度か練習の後、意を決してスチュワーデスに"Please give me a glass of water."と言うと、"Water?"の一言で持ってきてくれた。あー、通じたのかなと思って嬉しかった。でも"Water"だけでよかったんだ。これが、おそらく外国人との初英会話。飛行機はPan American航空で、日本人スチュワーデスはいなかったのだ。
約14時間でニューヨーク着。ここが異国だという実感がまだ沸かない。暗くて良くわからなかったけど、さすがアメリカ、ケネディ空港は羽田よりも広い、などと感心する。タクシーでマンハッタンへ。運転席と後部座席が窓で仕切られていて、座席の前に折りたたみの椅子が2つついてた。ということは、この車は7人乗り?ネオンが近づく。3月も末だというのに並みじゃない寒さ。お客は皆すごい毛皮のコートを着ていた。高層階の日本人用の部屋らしい。壁が竹の絵になってる。夜のニューヨークをぞろぞろと歩いてみる。とにかくやたら寒かった。日本より乾燥していて、特にホテルの廊下はじゅうたん敷きなので、ドアの金具に手を触れるとビリッとくる。

77/3/25金
グレイラインのバスツアーで一日マンハッタン巡り。ウォール街や国連本部前、中華街へ。仏壇なんか見せられても日本人の私達には珍しくもない。自由の女神への船を待つ間、凍りそうに冷たい強風に耐えた。女神像の中を階段ぐるぐる上って頭部辺りまで行ったが、中はからっぽ。鎌倉の大仏と同じみたい。それよりも、すぐ後ろを大柄のアメリカ人が迫ってくるので恐かった。自由の女神のお膝元で初めて食べた、ホットドッグのソーセージ&トマトケチャップ&ピクルスの味がとても印象的で、アメリカの味というとこの時のホットドッグを思い出す。船で戻り、最後にエンパイアステートビルへ。一番高いビルだけあってよく見渡せる。この辺でツアーとはぐれ、歩いてホテルへ帰る。デパートの中へ入ってみたりしたが、人がいなくて(閉店間際だったからかも)内部も日本と変わりない。   右→は、当時世界一高かったエンパイアステートビル頂上へのチケット
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77/3/26土 晴
朝タクシーでペンシルバニア駅へ。ニューヨークでは、タクシーの型は2種類。空港から乗った後部座席に補助イスのあるずんぐりむっくりの型とスマートな型。でも色は全部黄色。
メトロライナーでワシントンへ。走りはスムースで乗り心地悪くないけど、隣りのおばさんが恐かった。窓の外に、柵も何も無いところに2階建ての(赤毛のアンに出てくるような)家がぽつんと建っているのが見えた。周りも木ばかりでさびしそうな所。アメリカの住宅は皆あんなものなのかな。車中でなめていたアメ、まずくて閉口した。ゴムのように硬く、砂糖だけではない何かの味がついている。
昼過ぎにワシントン着。緑が多くてニューヨークと比べると明るくて落ちついた雰囲気。天気の良さも抜群で、NYではすごく寒かったけれどワシントンでは上着なしでも歩けた。スマートな水色のタクシーでホテルへ行き、荷物を置いてからタクシーで市内めぐり。ポトマック河畔の桜が満開だったけれど、色が冴えなくて日本ほど美しくなかった。十字架のずらーっと並んだアーリントン墓地には野生のリスがいて驚いた。国会議事堂は日本のような厳粛な感じはなく、明るい(白だから?)建物で、その他ワシントン塔、ジェファソン記念館、リンカーン記念館、そしてホワイトハウスなど、後で考えると何故か皆白い建物で、そのせいもあって美しくりっぱに見えた。

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ワシントン塔から眺めるジェファソン記念館

77/3/27日
レンタカー(後ろの広いワゴンタイプ)を借りて博物館見学へ。歴史科学館、スミソニアンなど。大きな車や飛行機、月へ行ったアポロや月の石の展示、ロケットなど面白かった。相変わらずのお天気でうきうきしていた。夕食はマクドナルドで。考えてみればこっちが本物なんだ。

77/3/28月
車でリッチモンドへ。広い道路をひたすら走る。車も少ないし周りは木ばかり。淋しい感じ。モーターインで泊。

77/3/29火
昼前にウィリアムスバーグ着。アメリカ大陸が『発見』されヨーロッパ人が移って来た当時そのままの町。入場料1人$6.5。議事堂や刑務所、牢獄、職人の家、商人の家、店や首切り台、手かせ足かせも残されていた。日本で言う明治村みたいな所だ。のどかな雰囲気。昔の時代に迷い込んだ気分になって、とても面白かった。教会が美しかった。3時間位で周ってまたリッチモンド方面へ戻る。隣家が何kmも離れているし、ポストは道路にたっているのに家は道路から見えなかったり、本当に広いアメリカらしいと思った。途中のモーターインで泊。ここで、カメラにフィルムが入ってなかったことが判明。今までの撮影が皆没とわかり、がっかり。

77/3/30水
シェナンドア公園の中を通ってワシントンへ戻る。淋しい何もない山なのに国立公園?『平地の多いアメリカにすれば、山があるだけで珍しいことなのかもしれないね』と家族で話し合う。途中インフォメーションセンターで一休み。絵はがきを買った。景色の見渡せるとこでオレンジを食べた。兄が皮を捨てたので私が非難すると、オレンジの皮は腐ると肥料になるから大丈夫なんだと言われ、私も勢い良く皮を投げ捨てた。(本当はいけないんですよね?)
14:00過ぎワシントン着。列に並んでワシントン塔に登った。エレベーターが小さいので列ができているようである。塔の周りに立っている旗がアメリカの国旗である時と万国旗になっている時があるのは何故なのだろう?エレベーターで一気に頂上へ。市内をぐるっと見渡せる。建物のきれいな整った街。
車を返して、バスでニューヨークへ。車内にトイレもついている。暗くなっても灯もつけないから殆ど寝ていた。真っ暗の中4時間半走って、20:30ニューヨークに到着。

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ワシントン塔の東側。右端の白い建物が国会議事堂U.S.Capitol

77/3/31木
ニューヨークの近代美術館でピカソの絵を見たりした。地下のカフェテリアはバイキング式で、食べられる量も考えずについつい食べたいものばかり取り過ぎてしまう。おかげではちきれそうに満腹。
地下鉄にも乗った。噂通りの汚い電車。驚いたのはイスが鉄のままむきだしであったこと。日本のような柔らかいクッションはついていない。吊り輪も『つり革』ではなく鉄製の四角いもの。いたるところにスプレーの落書きがあり、日本の電車を見なれている私には、とても冷たくさびしく感じられた。
メトロポリタン美術館では、ドガの踊り子を見た。見終わるともう夕方。セントラルパーク内を少し歩く。野外音楽場などあったが、ひとけがなくてどこもさびしい。またリスを見た。道路には馬車が走ってる。事故なんかおきないのかしら?
日航の向かい側のレストランで食事。何も話さなくても"Please!"と呼んで"this one please"で済んでしまうみたい。
夜、ニューヨークの町歩き。皆、信号無視ばっかり。守ってる人は一人もいない。レコード屋に行った兄は、レコードが安いと感激していた。まだ16歳なのに「車で来たのか?」と店の人に聞かれたそうだ。アメリカでは兄位の年で運転してもおかしくないらしい。

77/4/1金
帰国予定日。朝から空港で待つが帰国便に乗れない。

77/4/2土 雨
火曜日まで帰れないことが判明し、レンタカーを借りてナイアガラへ出発。空港近くのガソリンスタンドで地図をもらう。雨がひどい。

77/4/3日 霧のち晴
昼近く『バッファロー』の表示が見えてくる。『→Niagara Falls』の看板も。と共に遠くから滝の音が聞こえてくる。昼過ぎナイアガラフォールズ着。良い天気となった。まずアメリカ側から見たが、遠くからであまり見えない。Rainbow bridgeを渡ってカナダへ。カナダ側から見る滝はすごい。あとからあとからドドドッと大量の水が右から左へと動いていき、突然丸くなった水の塊が落下して行く。どう表現するかわからないけれど、その雄大さにとても感動してしまった。太陽も出てきて、水しぶきがきらきら舞い、ぼんやりと虹ができていた。地下におりて滝の裏もみた。黒くて長ーいレインコートと長靴を装着し、顔を覗きこまないと誰だかわからない。皆ペンギンみたい。
店でおみやげを買って食事の後、再びアメリカへ。ほんの短時間のカナダ滞在だった。橋の途中の検問所で簡単な税関。兄が応対。何か申告するものは?Nothing。何を買ったのか?ペナントのようなみやげ物。
また、ニューヨークに向けて出発。

77/4/4月
高級住宅街らしいロングビーチとかいう所辺りをまわった。大した豪邸でもなかった。あまりきれいではないモーターイン泊。モーターインてたいてい氷が置いてある。お酒用なのだって。それにしてもここにもジャラジャラいっぱいあった。どうやってこんなに作るのかしら?兄と近くのスーパーへ買物に。ハンバーガー用のパンにハムとチーズをはさんで食べる。それだけだけどとてもおいしかった。旅行中は質素に、これとデザートにオレンジをつけた食事、というのが多かった。オレンジはよく食べた。食べやすいし、おいしい。が、オレンジジュースを買ったらまずい。とてもじゃないけど飲めない。日本のは砂糖やいろいろ入れすぎるのかしら?父が誤ってルートビアを買ってしまい、まずいからと子供達に回ってきた。ペプシコーラみたいな味でおいしかった。

77/4/5火 雨
今度は本当に乗れるのかしらと不安に思いながら空港で待機。お天気も雨と霧で不安を募らせる。乗りこんでもずっと待たされやっと離陸。アメリカともお別れ。待合室で折った鶴を捨てるのがもったいなくて、ゴミ箱の上に置いてきた。空港では時計を買った。初め買ったものを交換したいと必死になって交渉したがなかなか通じなかった。時計を指さして"change"と"watch"の2単語しか言わなかったような気がする。最後には通じて換えてもらえたけれど。

77/4/6水
16:30頃ようやく羽田着。日本に戻ってきた。日本人女性の背がすごく低く見えた。この人は小さい方なんだなと思って見ていると、皆同じぐらいなので、日本人てこんなに小さいの?と驚いた。つい半日前までは異国にいたなんて信じられない。
アメリカといってもほんのほんの一部だけど、大きな影響を受けた。この2週間のことはきっと忘れない。貴重な体験だった。

 

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