アルゼンチン

コルドバへ

草原の中をひた走る。
地平線近くまで星が見える。きれいだ。思わず車を路肩に停め、外に出て空を仰ぎ見る。月がなければもっときれいに見えただろう。満天の星を見るのは数年ぶり。都会の灯りから完全に遠ざかったところになんて、なかなか来れないのだもの。寒くなければ、そのまましばらく見つめていたいところだ。あと、危なくないとわかっていたら。

夜中でも、交通量は結構ある。特に大型トラック。この国は、鉄道があまり発達していない分、トラック輸送が盛んらしい。そんな長距離トラックや長距離バスの貴重な休憩所が、ガソリンスタンド(看板ではGNCと出ている)。24時間営業で、カフェや売店やトイレ、電話なども併設されていて、ドライブ旅行にはとても助かる。とあるガソリンスタンドに入り、ここでしばらく休憩することにした。大型バスのターミナルも兼ねているらしく、真夜中でもひっきりなしに人の出入りがある。地図も見つけた。よかったぁ。ついでに会社に国際電話をかけ、言い忘れたことを伝言した。電話料金は、夜間は昼間の4分の1以下になるのだ。1分あたり$1ちょっと(\130位)だった。

on the table
地図を広げて行先確認、お金の精算、休憩時にも何かと忙しい
ロサリオから200kmくらいの街、Bell Ville(きれいな町の意味)で朝食の休憩。カフェで働くお姉さんたちの笑顔が素敵。接客業の人はやっぱり笑顔が大切だよね。あれ?ボンディアBom diaって言った?ブエノスディアスBuenos diasじゃなくって?ここだけポルトガル語圏なのかな?
でも、この後別の人に、オハヨウはボンディアなんだよって教えてもらった。バイバイはチャオ(イタリア語)だし、なんでスペイン語じゃないの?ま、でも、日本でもバイバイbyeって英語を使っているのだから、不思議でもないのか。
右の写真のような並木がたくさんあった。これは、虫除けなのか何なのか?木の幹が途中から下まで白く塗られている。

コルドバへは昼頃ついた。コルドバはブエノスアイレスに次ぐ大都市で、かなり交通量が多い。しっかり地図を見ていないと、中心地に近づくのは難しい。30分位うろうろした。
ようやく入った駐車場(駐車場のマークは、エスタシオミネントEstaciominentoのE)は、南市場のもので、中心地であるサンマルティン広場Plaza San Martinからは歩いてすぐのところ。よかった、ラッキー。2.5時間分のお金$2.5(約\300)を入れて、しばし町を探索する。

trees
ツートンカラーの並木道

Cathedral
San Martin広場前のCathedral
まずは中心地、サンマルティン広場へ。中央に馬に乗った人物の像があり、緑とベンチがあって人々が憩っている。バラードを歌っている歌手が、大勢の人を集めていた。広場の前には大きなカテドラル(教会)がある。
帰宅後、マルコのビデオを見直してみたら、汽車でコルドバに到着したマルコが真っ先にやってきたのが、このサンマルティン広場だった。「この建物の後ろに母さんの住んでる家が…」と言ってるマルコの前にあったのは、サンマルティン広場の前のカテドラルであった。写真と見比べて見るとそっくりそのままなのだ。一瞬の場面なのに、細かいところまでちゃんと描いているんだなあ。
サンマルティン広場から、歩行者天国の繁華街、5月25日通り(Calle 25 de Mayo)と7月9日通り(Calle de 9 de Julio)をぷらぷらし、ラ・カニャーダLa Canada川沿いを歩き、インターネットカフェを見つけてメールチェックなどした。

chess
路上ビッグチェスで対戦中

 

コラム:アルゼンチンのインターネットカフェ事情

都会の繁華街を歩けば、"INTERNET"の文字はすぐ目に入る。結構席は埋まっていて、繁盛している。
コルドバには特にたくさんインターネットカフェがあった。しかも、どこも大抵1時間1$と安い。昔からの由緒ある大学のある学術都市だからだろうか?
アルゼンチンが日本よりも物価が安い(例えばホテル宿泊費は約半額)ことを差し引いても、やはり安い。新宿のKinko'sのインターネット接続サービスは、10分\200だった。1時間だとアルゼンチンの12倍になる。
Cordoba Uni.

スペイン語のパソコンで日本語のサイトを初めてアクセスした時に、日本語のフォントをダウンロードしますか?とメッセージが表示される。余分なものをダウンロードできないようにパソコン管理者が設定していない限り、Si(はい)を選べば日本語フォントがダウンロードされ、スペイン語のパソコンからでも日本語画面が見えるようになる。ただし、日本語の入力はできない。スペイン語キーボードは、日本語や英語用のキーボードとは微妙にキー配置が違う。アドレス関係に使う『@』『:』『/』の文字の場所を抑えておくとよい。

国立コルドバ大学は、1613年開校のアルゼンチン最古の大学

 

lake

昨日はひた走りに走ってきたので、今日はちょっと優雅に、自然の美しいという郊外の保養地に行ってゆっくりすることにした。シーズンオフは安いとあるし。

コルドバから南西へ90kmのラ・クンブレシータ La Cumbrecitaを目的地とする。これまではずっとまっすぐな退屈な道だったけれど、山のくねくね道がたくさん出てきた。通り過ぎる湖もきれい。保養地らしい開放した雰囲気がある。

おっと、看板を見過ごすところだった。La Cumbrescitaの文字を見つけて横に曲がる。と、そこからは、アルゼンチンでは初めての砂利道。しかも道路自体の凹凸が激しく、大きく溝になっている部分を避けつつ進むので、せいぜい時速10km位でしか進めない。途中すれ違う車や立ち止まっている人は、奇妙なものを見る目でこちらを見つめている。妙な外国人が来たぞと思っているのか、その小さな車でこの道をいくのか、とあきれているのか、多分その両方だろう。 sheep
sign 車が1時間に1台しか通らなそうなこの道で、万が一にも溝にはまったら…。大きな岩がおなかをすったら…。低速で進むところを襲われたら…。普段は何も考えずに無謀なことしているくせに、走りが不安になると弱気になる。このまま軽自動車であと2時間は勘弁して、ととうとうギブアップ。Uターンした。

来る途中、あそこでもいいかもねと目星をつけていたホテルに泊まることにした。
りっぱなつくりだが、よくよく見ると、古めかしい。誰かがプールの中に入って壁を塗り直している。ロビーに入ると暗くてひんやり冷たい。人は誰もいない。シーズンオフの雰囲気ばっちり。hotel

「すみませーん。」

おばあさんが出てきた。私達を見ると、お嫁さんを呼んだ。

「部屋、あります?」
うーん、と困った顔をしている。
「一泊だけしたいんだけど。」
「じゃあ、一泊$35ね。」
「朝食はついてます?」
「ついてますよ」
「夕食はここでも食べられる?」
「お好きな時間に」
(お好きな、って言われても…いつでもいいっていう訳でもないだろうに)
「朝食は何時から?」
また困った顔をしている。シーズンオフだから出したくないのかな?準備が面倒なのかな?
「じゃあ、外で食べるからいいや」

実は、こんなにすんなり会話できたわけではなく、辞書をひきひき、筆談したりして、これだけのことをやりとりするのに、30分もかかった。簡単な単語さえも英語は全然通じないのだ。外国人は滅多に来ないのかな?ホテルでさえ通じないなんて。

ひとまず宿が決まるとホッとする。アルゼンチンでの初めての宿だ。思っていたより安くてよかった。ガイドブックでアルゼンチンのホテルの相場を見ると、5つ星などの高級ホテルは、日本と同等の値段なのだ。ここも外観がりっぱそうに見えるので、一人あたり$35なのかと思ったら、一部屋の値段だった。あとで部屋に入ってみたら、納得。部屋は特に美しいわけでも広いわけでもない。バスタブはなく、水周りはあまり清潔そうではない。シャワーも、いくら待ってもお湯にならない。着替えてクレームに行くと、ガスか何かの栓を開けるのを忘れていたみたいで、ごめん!といってどこかの部屋で操作していた。オフシーズンでずっと客なんかなかったんだろうか?でも、宿帳書くとき、確か昨日の日付でお客が一組あったのを見た。今晩は私達だけだ。栓を開いても、お湯が出るまでに5分以上かかった。
まあ、横になって寝れるのだから贅沢は言わない。

twilight ご飯食べに行こう。でも確かレストランは20時過ぎないと開いてないって本に書いてあったような気がする。探索をかねて、とりあえず出てみる。すると、やっぱりどこもまだCLOSEDだ。どこもっていっても、ホテルの周りには2,3軒しかないんだけど。
帰り道、ものすごーくきれいな夕焼けを見た。うーん、これを見ただけでも長い道をやってきた意味があったか。心が洗われるような強烈なオレンジ色だった。

シャワー浴びて、8時過ぎたのを確認して、再度外へ。
歩いていける近くのレストランへ行こう。8時を少し回った頃に行ったのに、それでもやはり私達は一番手だった。メニューがないって?店のおばさんは娘を呼んで来て、英語の通訳をさせた。鳥と牛とパスタの4種類ぐらいしかないらしい。
おなか一杯になったら、もうすぐに眠い。実に72時間(3日)ぶりに横になって、熟睡する。

 

< アルゼンチン入国 > < コルドバへ > < 連想ゲーム > < 塩の海 > < はるかな北をめざせ > < タッチ&ターン > < 初マテ茶 > < 銀の国と金の国 > < アルゼンチンのマドンナ > < テロ直後の米国 >

 

TOMBOY home > 旅行記 海外編 > アルゼンチン > コルドバへ

<このページの最終更新日:06/03/06 >