ベネルクス三国(ベルギー・オランダ・ルクセンブルク)
'91/4/24〜'91/5/1

目次
  1. きっかけ
  2. 日程
  3. 通貨
  4. 気候
  5. 治安
  6. 言葉
  7. 空港
  8. サベナ・ベルギー航空
  9. レンタカー
  1. ホテル
  2. 古城めぐり
  3. 国境
  4. ハプニング
  5. おみやげ
  6. 関連リンク

きっかけ

全日空にベルギー路線が加わった。体調を崩した母は留守番となり、先に出発した父と現地で合流。

日程

往復の航空便と待ち合わせ場所のブリュッセルのホテルのみが事前に決まっていたこと。それ以外はその場その場で話し合いの上決めていった。終わってみると、一週間どころか一ヶ月もいたような気分。余裕のない旅をしたせいかも。どこかにゆっくり留まって街に馴染むということを全くしなかった。今回もまた、精力的にあちこち行けるだけ行ってしまったという感じ。

日にち 行程 map.gif (5751 バイト)
  4/22月 (父)10:00成田発モスクワ経由17:20ブリュッセル着
  4/23火
4/24水 (知)10:00成田発モスクワ経由18:00ブリュッセル着
4/25木 ⇒アントワープ⇒ロッテルダム/ユーロマスト⇒デン・ハーグ
4/26金 ⇒マドローダム⇒アルクマール⇒大堤防⇒ザーンセスカンス⇒アムステルダム
4/27土 ⇒マヘレ橋⇒マーセイク⇒マーストリヒト⇒リエージュ
4/28日 ⇒ナミュール⇒アルデンヌ古城⇒ディナン⇒ルクセンブルグ⇒ナミュール
4/29月 ⇒モンス⇒ベロイユ城⇒ガスベク城⇒ベールセル城⇒ブリュッセル
4/30火 13:25ブリュッセル発
5/1水 7:45成田着そのまま出社

 

通貨

通貨 交換レート
(91/4月)
オランダ ダッチフローリン(通称ギルダー)。 1Dfl.=72.7円
ベルギー ベルギー・フランとサンチーム。1BF=100Ct。 1BF=4.27円
ルクセンブルグ ルクセンブルグ・フランとサンチーム。1LF=100Ct。
ルクセンブルグ国内ではBFも使えるがベルギーではLFは使えない。
1LF=4.27円

 

気候

日本(札幌で北緯43度)よりもさらに緯度が高い(北緯50度〜53度)が、偏西風とメキシコ湾流の影響で比較的温和。4月末の時期で、長袖シャツとスカートの上にウィンドブレーカーを羽織る、という格好でOK。日本の3月と同じ位の気候。

 

治安

ブリュッセルやアムステルダムのような大都市では、それなりの注意が必要と思われる。その他では特に治安が悪いと感じられるところはなかった。

 

言葉

公用語
オランダ オランダ語
ベルギー オランダ語とフランス語
ルクセンブルグ ドイツ語とフランス語

<オランダ語のあいさつ>

おはよう

フウデ モルヘン Goede Morgen

こんにちは

フウデ ミダフ Goede Middag

こんばんは

フウデ アーボンド Goede Avond

はい/いいえ

ヤー/ネイ Ja/Nee

ありがとう

ダンクウェル Dank u wel

どうぞ

アルステゥブリーフト Alstublieft

<オランダ語の数>

10
エイン
een
ツベイ
twee
ドリー
drie
フィール
vier
フェイフ
vijf
ゼス
zes
ゼーフェン
zeven
アハト
acht
ネーヘン
negen
ティーン
tien

<ベルギー国内のフランス語/オランダ語の地名表記例>

ベルギーは、大きく北のゲルマン族、南のラテン系に民族がわかれる。これは、ローマ時代にシーザーが、一帯の北半分をゲルマン人の領域として残したまま、南半分だけをローマ帝国領として征服したということに起因する。北部ではオランダ語の方言であるフラマン語、南部ではフランス語の方言であるワロン語が話されている。東部のドイツ近隣では一部ドイツ語も使われている。
車で国内を動き回ると、その言語の住み分けがはっきりと見えてくる。ブリュッセルを境に北へ向かうととオランダ語系の単語が、南へ向かうとフランス語系のスペルが現れてくる。中心のブリュッセルでは同じ都市名を並列表記している。ブリュッセルなどはまだスペルが似ているから同じ都市であるとわかるが、リエージュへ向かうときに、地図上ではLiegeなのに標識にはLuikとしかなくて、方向が間違っているのかとあせってしまった。MonsとBergen、誰がこの二つを同一都市と思うだろうか?

        表記
言語地域

フランス語表記 オランダ語表記
併用圏 Bruxelles ブリュッセル Brussel ブルッセル
オランダ語圏
(北部)
Malines
Anvers
Gand
Bruges
Ostende
マリーヌ
アンベール
ガン
ブルージュ
オスタンド
Mechelen
Antwerpen
Gent
Brugge
Oostende
メッヘレン
アントウェルペン
ゲント
ブルッヘ
オーステンド
フランス語圏
(南部)
Liege
Namur
Mons
Tournai
リエージュ
ナミュール
モンス
トゥルネイ
Luik
Namen
Bergen
Doornik
リュイク
ナーメン
ベルゲン
ドーニック

 

空港

<成田>

4階の出発ロビーの華やかさとうってかわり、1階の到着ロビーは暗い雰囲気。ヒゲ面の男達が群れをなして座っていた。外国人労働者だろうか?アラブ系の顔立ちだ。クウェートからの避難民でもないだろうし?

<モスクワ空港>

ユーラシア大陸を横断中、窓から下をのぞいたら雪山しかみえなかった。人は住んでいなさそうな寒そうな景色。モスクワでは、2時間弱も機内で待たされ、その間もその前後も水も食料のサービスもなく、ひもじい思いをした。モスクワは晴、ところどころ残雪はあるが空港周辺には残っていない。気温は5℃。森に囲まれていて何もなく殺風景。雑然とした感じ。アエロフロート機ばかり目につく。地面に線も印も何もなく、ただのコンクリート。しかもまっ平らではなく、水道工事の跡のようにボコボコしている。離陸後下界を眺めると、右手のほうは畑や森、左手の窓からは少し町らしきようすが見えた。白い四角いものはビルだろうと思う。集合住宅かしら。町というには平坦すぎる。高い建物はない。

<ザベンテム空港(ベルギー)>

予定より40分遅れて、ブリュッセルの国際空港、ザベンテム空港に到着。そういえば入国審査では一体何語で質問されるのだろう?フランス語でsightseeingって何て言うんだっけ?などとあれこれ考えていたが、何も聞かれずに終わった。空港のつくりは単純で、入国審査、手荷物受け取り、税関、銀行とあり出口に到る。空港の階段をおりるとすぐ鉄道の入り口で、改札はなく、車内を車掌が検札する。切符を車内で買うとあらかじめ買っておくより割高になるようだ。Airport Expressは25分でGare Centrale(中央駅)に着く。

 

サベナ・ベルギー航空

一歩足を踏み入れた途端、独特のきつい香水のにおいがした。ANAのキャビンアテンダントの同乗は一人だけ。サベナ側との共同運行になってからまもないため、サベナのスチュワーデスとのコミュニケーションもなさそうで、居心地が悪そうだ。空席が目立つ。半分以上空いているみたい。殆どがLOOKの団体客。ツアーに入っていない私だけ、窮屈そうにしている団体客を尻目に4人掛けを独り占め。団体客は動かすと面倒だからだろうか。

サベナのスチュワーデスは態度が荒っぽい。日本人のような良く言えば物腰の柔らかな、細やかな、悪く言えば丁寧過ぎて鼻につくほど慇懃、という雰囲気が全くない。ロッカーの扉を足で蹴飛ばして閉めてるの見ちゃった。

機内のアナウンスはフランス語だったけど、スチュワード達はドイツ語系(ドイツ語かオランダ語かフラマン語なのか区別つかず)でしゃべっていた。ANAのキャビンアテンダントとは英語でお話。やっぱりヨーロッパって何カ国後も話せないとダメなんだなあ。

 

レンタカー

シェラトンホテル内のAvisできくと、5日間のレンタル料は14,000BF。1日あたりのレンタル料は約15000円でかなり高い。しかし、荷物を持ち運ぶ面倒や南部の城めぐりのことを考えて借りることにした。OPELのCORSA。小型の赤いマニュアル車。ちなみに車は大きくても小さくても料金は同じらしい。おかしな話だ。

久しぶりのマニュアルの上に左ハンドル右車線。走り始めが、車の多い都会の真中というのはかなり辛い。最初は父が運転。助手席に乗っているほうが冷や冷やして心臓に悪い。ブリュッセルの町を囲んでいる五角形の環状線をぐるりと走ろうとしたが、危ないので車の少ない北へ早々に向かうことにした。

狭い石畳の道を路面電車が走っている。どうも交通規則が良くわからない。確かにガイドブックには『ベルギーでは直進車より右から来た車が優先である』と書いてあるが、道の大小に関わらずなのだろうか?右から来た車が悠々と曲がっていき、右に曲がろうとすると左から来る車が止まってくれる。なんだか不思議。街の様子など悠長に眺める余裕などなく、周囲の人や車に注意しながら、掲示板と地図を見比べて方向を定めなければならない。とにかく北へ、⇒ANTWERPEN(ANVERS)に従いながら行くと、いつのまにか高速道路に入った。正面に奇妙な銀色の球と棒のモニュメントが見えてきたが、それは原子をかたどったATOMIUMとあとでわかった。ブリュッセルの新名所らしい。

ブリュッセルを抜けるともうフランドル地方なので、フランス語表示はなくなってしまう。英語でもフランス語でもない言葉を走りすぎながら一瞬にして読み取るのはなかなか大変。最初に覚えたのはUITがOUTだということ。道路標識も変わっているのが様々あって、Avisでちゃんとした説明書をもらってくればよかったと思う。都市通過の度に、都市名の後にOOSTEN, WESTEN, ZUID, NOORDがついてくる標識を見かけ、それが東西南北であるということもわかってきた。

アウトバーンというのだろうか、高速道路では皆平均120km/hで走っている。ルクセンブルグからナミュールへ戻るときは急いでいて150km/hも出して飛ばしたけど、それでも次々と抜かされていった。皆180km/h位で走っている。大堤防の駐車場で事故を目撃したけれど、こんなに高速だと事故も頻繁に起こるだろうし、事故になったら大惨事になりかねないと思う。だからドイツ車は日本車とは作りが違うのか?

ガソリンスタンドはセルフサービス。アムステルダムのTEXACOで、1.7Dfl./リットル(税込み)。決して安くはない。そのかわりといってはなんだが、高速道路はどこも無料。

ブリュッセルに帰りついて車を返した。その赤い車をしみじみと眺めて、大きく安堵のため息をついた。周りは高速で走っているし、左ハンドルのマニュアル車は初めてだし、右折優先なんて日本にはない規則はあるし、よく事故もなく無事に戻れたものだ。反対車線を走ってしまったり、いつもの癖で右左の順で道を確認して発進しようとしたところを右から猛スピードで走ってきた車と衝突しそうになるし、3速に入れようとして5速に入ってしまったり、気をつけていてもやはりウィンカーとワイパーを間違えてしまうし、今は笑えるけど思えばなかなか危険なドライブであった。

 

ホテル

宿は最初の晩だけ予約。あとは移動しながらその日のうちに決めた。ベルギー、ルクセンブルグでは当日でも難なく入れたが、オランダでの宿探しはかなり難航した。ガイドブックを開いてみて納得。4月26日は花畑の多いハーレム周辺で春の花パレードがある。オランダ名物のチューリップの祭典だから、観光客が集まるはずだ。オランダの観光案内所vvv(フェーフェーフェー)では無料で宿を斡旋してくれる。ベルギーの観光案内所はvvvとは違い、ホテルの案内はできないという。係の人も英語が苦手らしく、なぜホテルの案内ができないのかと詰め寄ってもうまく説明できなかった。こうなったら自力でと、公衆電話からホテルへ直接電話してみるが、どうも番号を間違ったようでちゃんとかかっていないよう。うまく通じても英語は話せないからダメと断られたり。

<ブリュッセル・シェラトン> Sheraton Brussels Hotel & Towers

s w 6950〜
Place Rogier 3, B-1210 Brussels, Belgium
phone 32-2-2193400 fax 32-2-2186188 telex (846)26887

満足度:60点
最初と最後の2泊した。地下鉄北駅Gare du Nordのすぐ上に建ち、交通の便はとてもよい。渡されたカード式ルームキーで部屋が開かないので受付に言うと、横柄な態度でそんなことはあり得ないと言われた(ような気がした)。結局ホテルマン(女性だったけど)が試してもだめで、カードを取り替えてもらった。あの冷たい態度は何なのだ?憤慨。部屋の中はきれいだけど窓は建物の裏側に面したところで、暗くて汚い景色しか見えない。最後の晩の部屋は、町が見渡せる部屋でよかった。

<ホテル パトリア> Hotel Patria

w Dfl.95
Harstenhoekweg 6 2587 SL. Scheveningen
phone 070-3542237

満足度:85点
ロッテルダムのvvvで宿探し。ユーロマストで会った日本のビジネスマンに100Dfl.で泊まっていると聞いたので、そのセンでいったのがいけないのか、周辺の町まで範囲を広げてもどこにも空きがない。電話をかける係のお姉さんも困りきった顔をするばかり。仕方なく宿の決まらぬまま案内所を出た。隣町のデルフトのホテルでも「ここら辺ではもうどこも空いてないよ」と言われて愕然。小さい町ではだめだろうと、一気にデン・ハーグまで行く。中央駅前のvvvで「もう、どこでもいくらでもいいんです」とすがりついたら、案外早く、しかも最初の希望通りの値段の宿が見つかった。北海の海岸近くの小さいが清潔なホテル。近くのカジノホテルクールハウスKurhaus Hotelで豪華な夕食をとって、満足して眠りにつく。翌朝1階の食堂で朝食。宿のおかみさんは大柄で恰幅良い。オランダ語の『おはよう』の発音を教えてもらったが難しくてとても1分も覚えていられない。

<ホテル フリーランド> Hotel Freeland

w Dfl.95
Marnixstraat 386 1017 PL Amsterdam
phone 020-6227511 / 6277578

満足度:50点
デン・ハーグの駅前のvvvへ。ここでも宿探しは難航。何十軒も電話をしてもらいもうだめかと思った頃、ようやく一つみつかり、ホテル名と住所を教えてもらった。地図上の場所を聞くと教えてもらえない。それにはお金がかかると言う。住所がわかっても地名を知らなければどうしようもないじゃないか。よくわからないシステムだ。とりあえずアムステルダムで調べようと、そこは出た。
アムステルダム中央駅前のvvvに入ると、ものすごい行列。しかも一人の用事が済むまでが長い。これではとてもすぐには終わりそうもないと諦めて出口に向かうと、そこに町の地図があり、町名もアルファベットで検索できるようになっていた。よかった。地図上の大体の位置を覚えて車で探してみる。街中の看板を眺めていたら、休憩中のタクシーの運転手さん達が親切に教えてくれた。でもFreeland Hotelなんて知らないと言う。不安を抱えつつMarnix strを行くとちゃんと見つかって、安心。ところが部屋は思ったよりひどく、半地下の暗い3畳程の部屋に洗面所とロッカーと部屋いっぱいに大きなベッドが一つ。足場は殆どない。他に部屋がないというのでベッドのマットを床に下ろして上と下に分かれて寝た。寝床があるだけマシか。しかしこれでDfl.95(≒7500円)は高い。しかも駐車場がなく、近くのパーキングで1泊\1200もした。

<ホリデイイン> Holiday Inn Palais des Congres Liege

s BF2500 w BF3000
Esplanade de l'Europe 2, 4020 Liege
phone 3426020 fax 3434810

満足度:85点
リエージュ中央駅の公衆電話からホテルへ直接電話するが、英語はダメと断られる。ならばと少々高そうだけれど英語の通じそうなHoliday Innへかけたら即座にOKだった。割引もきくらしく、思ったより安くいい部屋に泊まれてラッキー。

<シャトー ドゥ ナミュール> Hotel du Chateau de Namur

w BF4100
Avenue de l'Ermitage 1
phone 081-22 26 30

満足度:88点
アルデンヌ地方の古城めぐりの基地となるナミュールで、(電話では心配なので)直接行って予約した。その名の通りお城を改装したホテルで、シタデール内にある。
予約だけしてすぐに出発し、戻るのが21:00頃になった。フロントがもう閉まっていたら、遅すぎてキャンセルと思われたら、とかなり焦って行くと、フロントにはニッコリ出迎えられてホッと安心。

 

<ブリュッセル>Brussel

街には長く滞在しなかった。最後の日に少し歩いてみただけ。
小便小僧の女の子版ジャンネケ・ピスJeanneke-PISを見に行き、世界で一番美しい(byビクトル・ユーゴー)というので期待してがっかりしたグランプラスGrand placeをゆっくり見渡し、モネ劇場の前をもう一度通って。でもなぜかブリュッセルの街はあまり心に残っていない。初めに父に連れられていたので道を覚えなかったし、なんとなく暗くごみごみして薄汚れているという印象を持ったせいかもしれない。都会はどこも同じか。

shoben.jpg
ジュリアン坊やは、600歳を越える
最長老のブリュッセル市民

<アントワープ>Antwerpen

ベルギー最大の近代的な都市で、『フランダースの犬』の時代の面影はない。せめてネロ少年がその前で力尽きたというルーベンスの絵を見たいと思い、ノートルダム寺院内を見学した。真正面に掲げてある絵が『十字架より降りるキリスト』かしら。

<ロッテルダム>Rotterdam

オランダ第2の都市。高速道路を降りてとりあえずCentraalへ向かう。ロッテルダムでは川沿いに走っていたので、現在地がわかりやすく、まずは目に入ってきた高い塔ユーロマストEuromastを目指した。観光地では、US$のT/Cでも支払いができる。ユーロマストの最上階は回転展望室。中に入るとグーンとゆっくり回転しながら少しずつ上昇し始めた。座っているだけで360°見渡せてしまう。室内に感嘆の声が上がる。フランス人などの多い中、日本人は他にビジネスマン2人だけだった。

euromast.jpg

<デン・ハーグ>Den Haag

日本ではハーグ、英語ではThe Hague。オランダの国会議事堂など政府機関が集まっている町。ホテルの食堂から外を眺めると、騎馬警官を乗せた馬がのんびり歩いていく。朝は、北海を臨むスフェーベニンヘンScheveningen海岸を散歩。馬もお散歩していた。ここはヨーロッパ中から人の集まるリゾートらしい。
ミニチュアの町マドローダムを見学。どうせ子供だましとたかをくくっていたが、精巧でなかなか面白い。

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farm.jpg

<花畑地帯>

デン・ハーグからアルクマールまでは花畑地帯。訪れた4月〜5月はチューリップが満開の時期。道路を走っていると、両脇の畑に赤、黄、白、緑など色の帯が見えてくる。

<アルクマール>Alkmaar

デン・ハーグからひたすら北走し、E19の終点がアルクマールだ。毎週金曜日の午前中、チーズ市が開かれている。到着は正午を過ぎてしまい、市ももう終わりかけ人もまばらだった。赤・緑・黄・青のリボンのついた麦藁帽子をかぶり、真っ白なシャツ、真っ白なズボンを着た体格のいいおじさんが、台にのせた丸くて大きなチーズを2人一組で運びトラックに積み込んでいた。小さな町だけど活気があふれて楽しそう。お天気も良く、市の近くに出ている露店を見て周るのにちょうどいい気候。
お手洗い目当てに入った町の小さな博物館は、ひっそり静かで落ち着いた雰囲気。受付のおじさんはなぜかフランス語の説明書を渡してくれた。

alkmaar.jpg

<大堤防>Afsluitdijk

オランダの国土の25%は海面より低い位置にあり、正式国名であるネーデルランドというその名も『低い位置』を意味している。オランダの歴史は水との闘いだったという。その代表的な見本が、ノルドホランド州とフリースランド州を結ぶ32kmに及ぶ大堤防である。

daiteibo.jpg
地図上には海の上に一本線として書かれているので左右に海が見える大きな橋かと期待していたが、堤防なんだからそう見通しが良いわけがない。定規で引いたようなまーっすぐな道が続いている。中間地点の展望台で休憩。駐車場から出る車が本線にのりきれずに後ろからきた車と衝突していた。コワイなぁ。狭い日本よりもっと狭いくせに何だって皆そんなにスピード出してるんだろう。
途中でUターンできず、結局向こう岸まで渡りきってしまい、同じ道を折り返してきた。途中、船の通行のため通行止めにあった。道路が跳ね橋のようにぎぎーっと開いてその間を船が悠々と通っていく。のんびりしてる。

<ザーンセスカンス>Zaanse Schans

アムステルダムの北15kmにあるザーンセスカンスは、風車の村として観光客の絶えない村だ。ドン・キホーテを連想させるような巨大な風車を目の当たりにする。内部にも入れる。さほど風が強くなくてもぎしぎしがたんがたんと勢いが良い。昔は、海抜マイナスmの低地に集まる水をすくいあげるモーターの役目を風車が果たしていた。今では風車は文化遺産と観光資源として残るのみ。電気のモーターにとって替わられた。
日本語の説明書もおいてある。説明書には、風車"de Kat"の隣に黒猫が描いてあるのだが、de Katが風車の名前なのだろうか。KatとはCatのこと?

fusha.jpg

<アムステルダム>Amsterdam

ベネルクス最大の都市。さすがに人も車も多い。中央駅は、赤煉瓦造りの東京駅のモデルになった。
王宮や中央の商店街やクルーズ発着所などをぷらぷら散策した。ハナキンなので人が多い。ダム広場は仮設の遊園地となり騒音を撒き散らしている。重みのある歴史的な王宮の建物をバックに青や赤、黄のけばけばしいイルミネーションの乗り物がぶんぶん動いている。なんだか退廃的。ベルギーに比べオランダはどこも整然として美しかったのに、国際都市アムステルダムは新旧ごちゃごちゃであまり印象がよくない。古いものをそのまま残しつつ人口が増えてしまったせいなんだろうな。東京も余り世界に誇れる国際都市ではないけれども。

アムステルダムがオランダ最後の町となるので、『アンネの日記』のアンネの隠れ家の入場料を差し引いた残金を全てガソリンに使ってしまった。すると入場料はガイドブックにある額の倍以上にも値上がりしていて、11Dflだった。心残りではあったが諦め、アンネが窓からこっそり眺めていたであろう川岸の風景などを見渡して終わりにした。

アムステルダムの締めくくりに、マヘレの跳ね橋Magere Brugへ。国中のいたるところに運河がめぐるオランダでは、パチンコのチューリップが開くように、船の通行時に橋が開く。風車と跳ね橋を描いてしまえばオランダの田舎の風景画になってしまう。

hane.jpg
こちらはゴッホの跳ね橋

<マーセイク>Maaseik

アムステルダムから南下したが、マーストリヒトMaastrichtの手前30km位で渋滞にはまってしまった。全く動かないので思いきって高速道路を降りていくことにした。オランダ/ベルギーの国境をはさんで高速道路E25と平行する太い道がある。Echtで降りてしばらく行くとベルギーの小さな町マーセイクに出た。ちょうどお昼時だったのでここで休憩。小さな喫茶店でスペシャルハンバーガーと私はダッチコーヒー、父はトマトスープを頼んだ。ブランデー入りのコーヒーが大きなグラスになみなみと注がれていて、全部飲み干すとくらくらした。コーヒーに小さなチョコレートが添えられている。町は本当に静かで何のBGMも聞こえてこない。静かな静かーな昼下がり。町全体がまどろみタイムのようだ。それにしてもダッチコーヒーのお酒は強烈だった。これじゃ飲酒運転で捕まってしまうかも。

<リエージュ>Liege

街についてまず一番にすることは、街を一望できる高い場所へ上ること。リエージュではビューラン山Montagne de Buerenへ。シタデールCitadelle(城砦)からの町の眺めは壮観。ただし、ここまで上るのはかなりきつい。下りは約400段の長ーい石段を降りていったが、途中に休憩用のベンチが置いてある。一番下から見上げるとため息をついてしまう程長くまっすぐな階段である。でもその両脇に住宅があるってことは、住民は毎日ここを上り下りしてる訳だよね…。
この町の印象は余り良くない。何だか暗くて裏寂れた感じがする。早く逃げ出してしまいたくなる。使ってみたフランス語が殆ど通じなかったせいかなあ。

<ルクセンブルグ>

首都ルクセンブルグには1時間余の滞在。日帰りでナミュールまで帰らなければならない。なにしろ時間がない。
駅前の案内所で地図をもらい、駐車場に車をおいて30分後に待ち合わせすることにして別行動。私は3つの塔の門からボックの砲台の方へ。ボックの砲台から東に延びている橋を行くと、朽ち果てた見張り台の残骸がある。ぼろぼろと欠けているので虫歯と呼ばれている。ここからの眺めは爽快。しばしうっとりと周囲の景観を眺めた後Uターンし、ギョーム広場でがらくた市をひやかしながら(ピアスを買う)、急いで駐車場へ戻った。父は、アドルフ橋に行っていたらしい。すぐにまたナミュールへ向かう。

lux.jpg

<名もない小さな街>

ルクセンブルグからナミュールへ戻る途中、高速道路が工事中で迂回路も書いていないので、地図を睨みながら自力で行く。ヌッフシャトーNeufchateauを通過。名も知らぬ小さな街の食堂でハンバーガーとポテトをテイクアウトして、車中で夕食。その店では英語が全く通じなくて(もちろん私の仏語も)苦労した。必死に言葉を繰り返したり聞き返したり身振り手振りで意思疎通をはかった。お手洗いのW.Cの発音さえ通じなくてちょっとめげてしまったけれど、フランス語ではW.C.なんていわないのかな。でもなんとなくほんわかと暖かい思い出として妙に心に残った。言葉なしに異国の人間とコミュニケーションできて感動したのかもしれない。それともこの店の雰囲気のせいだろうか。店の中は町民でいっぱい。お互い見知らぬものはいない。わきあいあい。人々のおしゃべりで騒がしい。店の親父は汗かきかき鉄板で肉を炒めたりポテト揚げたり。店内は活気にあふれていた。

 

古城めぐり

<ベルギー東南部 (アルデンヌ地方)>

古城めぐりの一番目はアンヌヴォアAnnevoie城。ここは庭がメインらしく、様々の噴水が売りらしい。城内部はガイド付きでないと入れない。昼休みで1時間ほど待たねばならないというのやめた。休憩所でラザニアと紅茶のお昼を済ませる。
次は、大聖堂(?)の塔の部分が絵本に出てくるような町ディナンDinantを通り過ぎ、ラヴォー・サンタンヌLavaux Saint Anne城へ。ここは狩猟博物館で、動物の剥製やら頭ばかり展示されていて余り面白くなかった。

annevoie.jpg dina1cit.jpg lavaux.jpg
アンヌボワ城
18世紀に建てられた荘園領主風建物と庭園が見所。[開館]庭園は4月1日〜11月1日の9:30〜18:30。城は4月6日〜6月30日と9月の週末と祝日および7〜8月の毎日9:30〜13:00,13:30〜18:00。
ディナン
最大の見所は、シタデール(城砦)。ケーブルカーか400段の階段でのぼれる。
ラボー・サンタンヌ城
水濠に囲まれた12世紀の古城。城内には国立狩猟博物館がある。[開館]1月1日を除く毎日。3月1日〜10月末は9:00〜18:00(7,8月は19:00まで)11月1日〜2月末は9:00〜17:00。

<ベルギー南部>

アルデンヌ地方で見た古城は豪族のお屋敷程度だったので、眠り姫に出てくるようなお城を想像していた私には物足りなかったけど、ベロイユBeloeil城はさすがに南部一だけあって外観も内部もなかなか豪華。マリーアントワネット愛用の時計というのもある。
アトAthを経由し田舎道をドライブして、ガスベクGaasbeek城とベールセルBeersel城を見に行ったが、両方とも休館で、柵の外からその姿を眺めるだけだった。苦労して辿り着いたというのに。でも、道を聞いたおばさんも、休みだよと教えてくれたおじさんも、堀で釣りをしていたおじいさんも、休みで残念よねとやはり見学に着てがっくりきた人達も、皆親しげで嬉しくなってしまった。

beloeil.jpg gaasbeek.jpg beersel.jpg
ベロイユ城
14世紀に建てられたリーニュ家の屋敷。蔵書や美術品を収めている博物館でもある。庭園が美しい。
[開館]3月30日〜5月31日の週末と祝日(団体は毎日。要予約)、6月1日〜9月30日は10:00〜18:00の毎日。
ガスベク城
13世紀に建築され,19世紀に再建された。現在は博物館として開放されている。[開館]4月1日〜10月末の祝日でない月・金曜を除く10:00〜17:00(7〜8月は金曜のみ休館)。
ベールセル城
12世紀に建築され20世紀に修復された。木立と濠に囲まれている。
[開館]3月1日〜11月15日10:00〜12:00,14:00〜18:00,月曜休み。11月16日〜2月末は週末・祝日のみ,10:00〜12:00,14:00〜18:00。1月は休館。

 

国境

ベルギーからオランダへ高速道路を走っていると、渋滞し始めて、何かと思っていると制服の男性にフラマン語で話しかけられた。ポカンとしてると英語でサングラスを取りなさい、と言われた。"Anything to declair?"で、ようやく国境警備官とわかり、"Nothing"というと車内を見渡した後で通してくれた。特にトランクを開けたりパスポートさえも見せない。国境警備員が車の間をぬって歩き、車を一つ一つのぞきこんで質問するだけだ。簡単なものだ。

オランダの南端は東をドイツと接し西をベルギーと接している。アムステルダムからマーストリヒトに向かう途中で高速道路を降りて一般道を走った。この辺は国境付近だけど自由に行き来できるみたいで、目立った印も警備官も関所もなく、気がついたら隣国に入ってしまっている、という感じ。もちろんパスポートなど必要ない。

ベルギーからルクセンブルグへ。国境には大きな関門があったが、特に止められることもなく素通り。面白いことに国境を越えると、それまでずっと続いていた道路脇の灯りがなくなり、タイヤの音がうるさくなる。

 

ベルギーはもともと隣国の影響を受け、フランス料理が安く食べられるはずなのである。ところが、エンゲル係数をなるべく押さえるようにするのが、我が家の旅の流儀。大抵はパンとハム、フルーツなどの質素な食事が多い。

<機内食>

成田〜ベルギーでは、12:00頃昼食、17:00頃ツナ入りバターサンド1個の軽食、22:00過ぎ夕食が出た。夕食はハムときゅうりのピクルス、Maesのラガービールでおいしかった。モスクワ空港で長いこと水も食料もなしで待たされてひもじかったせいだろうか。

<ベルギー料理>

最後の晩餐はちゃんとしたレストランへ。といっても大衆食堂での経済的なお食事。ムール貝で有名なChez Leon(18, rue des Bouchers phone:511-1415)へ。ここぞとばかり高いものをとよくわからずに頼んだら、余り好きでないアスパラガスでがっかり。ところが食べてみるとバターの風味がgoodでとてもおいしかった。それ以来白アスパラガスは好物になる。ムール貝とアスパラガスにビールも飲んで、お会計はBF1545。

<オランダの朝食>

いろいろな種類のパンとチーズとハムと飲み物だけ。黒パンとも違う、湿ったブツブツした茶色いパンを試してみたがおいしくなかった。パン焼き用かと思って小さなコンロの上にパンをのせると、宿のおかみさんがびっくりしてパンを取り紅茶のポットを置いた。なるほど。ろうそくのコンロだからおかしいなとは思ったんだ。

<ベルギービール>

beer-en.jpg ベルギーの人は、最低でも週に2リットルはビールを飲むというほどのビール大国。ビールの種類も数百種ある。
値段は、スーパーで買ったときに100円位だったと思う。
日本人に馴染みやすいのは、ラガーのMaes, Stellaあたりだろうか。
変わったところで、サクランボ味のクリークKriekというのを飲んでみたが、いまひとつ。クリークとは、フラマン語でサクランボの意味。

 

ハプニング

リエージュの町だったと思う。道を右に曲がってから左車線に入ってしまった。そこに向こうから車がやってきて、慌てて右車線へ。危うく正面衝突するところだった。初日ではなく、3日目位の慣れてきた頃が危ない。

ルクセンブルグへ向かう途中、高速道路でガソリンエンプティに気がついた。こういうときに限って、次の給油所ではディーゼルしかなかったりする。次の給油所までどのくらいの距離かわからないのに、ガソリンがどこまで持つかわからない。結局何とか見つかって一安心。しかし、給油所を探して走ったら目的地のルクセンブルグ(街)への道がわからなくなってしまった。ガソリンスタンドのおばさんに、ルクセンブルグへはどっちへいけばいいの?と聞くと、「ここがルクセンブルグ(国)だよ」と言われてしまった。これじゃまるで、新宿あたりで「東京(駅)はどこですか」と聞いてるのと同じようなもんだ。ルクセンブルグは、国の名でもあり、州名でもあり都市の名前でもある。

おみやげ

空港でお土産買いに奔走した。シャネルのリップ\1600は絶対安い。Godivaのチョコレートも。ベルギービールも持って帰れるといいんだけど。父は旅の途中でデルフト焼きを買ったようだった。焼き物は重いし壊れやすいからやめたらと心無いことを言ったのが、いつまでも心にひっかかった。焼き物は今も壊れず父の部屋に置いてある。

 

関連リンク

ベルギー観光局 ベルギーの一般的な情報が豊富にきれいに並べてあります。

オランダ政府観光局 オランダの情報満載。

在日ルクセンブルグ大使館 国の歴史や文化や経済など。

Luxembourg City Tourist Office こちらは現地の観光局。英語。

 

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<このページの最終更新日:99/02/28>