南紀その1

伊賀上野

早朝に東京の自宅を出発し、昼過ぎに伊賀上野に到着。運転席後ろの狭い座席に押し込められる4歳男児の退屈を紛らわせるのが一番の難所と思っていたが、朝食の休憩 に寄ったサービスエリアでガチャガチャのおもちゃを見つけ、以後それでおとなしく遊んでくれてなんとか助かった。伊賀上野城。階段下に黒と赤のちびっこ忍者

伊賀上野は、忍者屋敷を見たくて初日に組み込んだ。忍者に傾倒しているというわけではないが、司馬遼太郎の『風神の門』『梟の城』、白土三平の『カムイ伝』『サスケ』など忍者を題材にした作品を好んで読んだりして、興味はあった。 問題は、我が家の男の子達が、どれほど興味を示すのか?

とりあえず、高い所にきたらまずのぼっとけ、ってことで、伊賀上野城天守閣へ。天守閣への階段こういう階段を見るといつも思ってしまうのだが、天守閣でトイレの用事はどうしてたんだろう?毎回下に降りていた? それとも、お殿様 用の便器だけが上り下りしていた?

そこここに、忍者の格好をした人々がいる。特に、ちびっこはかわいらしい!城の風景とも馴染んでいる。 「かっこいいよね、あれ」と炊きつけて、息子も忍者に変身させようと思ったが、衣装貸し出しの場所がわからずうろうろするうちに時間切れ。変身は翌日におあずけに。

本日のメイン、伊賀流忍者博物館へ。休日のためか、結構な賑わい。何分かごとにツアーが出ている。忍者の格好をした説明員が、どんでん返しや物隠しなど、忍者屋敷のからくりを手さばきよく見せてくれる。普段、枝や棒を振り回して怒られている息子は、やはり刀に興味を持ったようで、展示室の刀の前では真剣なまなざしで見入っていた。そして案の定、翌日通った土産物屋では刀のおもちゃを見つけて買ってしまった。忍術ショー

博物館に併設されている忍者ひろばでは、伊賀忍者特殊軍団、阿修羅による忍術ショーが開催されている。博物館の入場料のほかにまだ払うのー?と少々不満気味だったものの、始まって一番前で見ていると、斬り合いで偽の腕が飛んでくるわにせものの腕本物の手裏剣は飛ぶわで、ユーモアを交えた迫力のステージがなかなか面白かった。
映画やマンガなどで見られる忍術は誇張された形であり、実際にはあり得ないのだと説明しながら実演してくれた。手裏剣は1枚200g位あって重いため、重ねて何枚もシュシュシュッと投げたりはできず、せいぜい逃げる間際に1,2枚だけなのだそうだ。鎖鎌についた分銅をブンブン振り回してそれで相手を倒したりもできない。むかーしむかしのピンポンパン体操で、手と手をすり合わせるのが手裏剣の投げ方と 知ってからずーっと、それで正しいと思ってたよ。くのいち電車当時はピンポンパン体操を見ていた全国のよいこたちが、そのポーズで何度も「手裏剣シュシュ」をやってたに違いない。

伊賀上野を通る伊賀鉄道には、漫画家松本零士デザインの忍者列車も走っている。(ちょっとわかりづらいけど、右の写真の左のみどりの電車)
実はこの忍者列車、老朽化したために新車両の導入が計画されており、新車両の車体幅が現行よりも広いために各ホームを削る作業で、9/11〜9/15は運休になる予定だったらしい。写真を撮ったのはその5日前だった。黄色忍者に変身

伊賀上野は、碁盤の目のような通りに古い建物と新しい建物が調和して並んでいる、とてもきれいな町だ。翌日、宿のそばの伊賀流忍者店(洋品店)で息子を黄色忍者に変身させた後、町を散策してみた。あちこちに古い住宅や商店があって、絵になる。忍びの装束よりも、浴衣や和服で歩くといいかも。
それにしても黄色忍者は目立つことこの上ない。ふらふら歩く子供に着せるには大正解の色だが、本当の忍者はこんな色の装束はつけなかっただろうねえ?この忍者衣装、脚絆(きゃはん)や頭巾など何枚も重ねて着るので初秋とはいえまだまだ暑いこの時期フル装備は辛い。で、息子はあっという間に頭巾をとり、上着を脱 いで上半身はランニング、下は黄色いニッカボッカの作業員のようになってしまった。

町を歩いて特に興味を惹いたのは、家のすぐそばをぐるりと廻る個性的な垣根。木や竹、朝顔が垣根にかかって涼しげ。

 

  

伊賀上野では、旅館薫楽荘(くんらくそう)に宿泊。黒い塀に引き戸の門、松の木、欄間が変わった形だったり、銀屏風で間仕切りされていたり、風情のある宿だった。 向かいの旅館、大勢楼は『楼』の字がつくことから昔は置屋だったのかもしれないと想像がつくが、薫楽荘は料理屋だったのかしら?
昔の子供のおもちゃが置いてある小部屋があったり、そこここに小さなかわいい飾りがさりげなく置いてあったり、隅々まで清潔で、気持ちよく過ごせた。食事もまた適量で美味。丁寧な おもてなしを受けた気分にさせてくれる宿だった。

     

     

 

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<このページの最終更新日:09/09/29 >