ポルトガル旅行記

モンサラース Monsaraz

エヴォラからさらに南東へ。この辺りは、緑や赤、黄色で彩られたパッチワークのような、なだらかな丘が続く。どこか北海道の美瑛辺りの景色を思わせる。


メインストリートは閑散

モンサラースMonsarazは、エヴォラから東へ40kmの村。グァディアーナ川を渡る橋の手前を北に向かうと、高台にそびえ立つ城壁が見えてくる。城壁の中は、オビドスと似たような狭い石畳と白壁の美しいメインストリート。みやげ物屋やレストランが並ぶ。村を一周するのに、10分もかからない。一番奥には、闘牛場跡があった。

闘牛場跡に登ると、見晴らしがよく、周囲がよく見渡せる。平地の中にぽこんと浮かんだ雲の上の台地のようなモンサラース。平地に降りれば便利な暮らしがあるだろうに、人々がこの高台にとどまるのはなぜなのだろう。この村を一歩もでたことのない人もいると聞いたが、本当だろうか。村の中央であろう教会前で人を数人見かけたが、他は閑散としていた。新しく建築中の家は、白壁や煙突のある昔ながらのデザインだった。


闘牛場跡から町を見渡す

いい匂いがしてくるが、12:00を過ぎてもレストランが開かないので、あきらめて先を急ぐ。アレンテージョ地方にいる間に、名物の豚とアサリの炒め物を食べなければ!

 

モウラ Moura


こんな感じの道ばかり


川に行き着いた。行き止まりだ。

スペイン国境近くを南へ走る。荒野が続く。何km走っても、この先何という町があるのか、この道が何号線なのか、何の標識も出てこないので皆目わからない。川に行き着いてUターンしたりしつつ、なんとか昼過ぎにモウラに到着。

アルガルヴェAlgarveやアルブフェイラAlbufeiraなど、ポルトガルには頭にALのつく地名が多い。ALは、アラブ語の冠詞で、長く続いたムーア人支配の時代の名残なのである。地図上に、その名もMoura(ムーア)という名の町を見つけた。さぞかしイスラム色の強い町だろうと興味を覚えて来てみた。白壁と狭い石畳の通り、カソリックの教会。他の町となんら変わりはない。考えてみたら、どういうのがイスラム色というのか、わかっていないじゃないか。なんとなく、モスクの跡などがあるのかしらと考えていたが、見つからなかった。

まずは乾ききった体に潤いを!ここはまだアレンテージョ。名物の豚肉とアサリのアレンテージョ風を探し回る。ようやく見つけたレストラン、皿に大小あるのは嬉しいぞ!さっそく小さい方を頼んだ。この間グァルダで買ったチーズが塊で出てきた。隣のテーブルを見ると、スライスされているのに、私のは丸ごと。どうせ食べないと思ってるのか?意地になってスライスして食べた。残りは持って帰ろう。腸詰めソーセージも初めて食べる。薄切りのサラミ。羊の匂いがする。これなら保存がきくかな?お土産に買って帰ろう。ビールを一気に飲み干す。なぜかここで出てきたのは、ドイツビール。期待していた料理は美味しくなかった。別にアサリは入ってなくても、という気がする。アサリの味が全くしない。豚肉も固い。ポルトガル料理で初めて落胆。結局ランチのためだけに寄った町だった。


チーズ、ベーコン、ソーセージを売る店

再び荒野を走る。ふと考えると、こんな余り人も車も通らない道で事故にあったら、すぐに助けも来ない、いつものHertzじゃなくて勝手もわからない、言葉は通じない、全て一人でこなさなくちゃいけなくて大変だろうな。…と、ときどき気を引き締めつつ、暇なときは主に、ボーっと空想の世界に飛んでいる。

メルトラMertolaを通った。どこで休憩しようかと考えているうちに、あっという間に城壁の外に出てしまった。まあいいか。そろそろこういう狭い城壁の村にも飽きてきた。とにかく、水分補給だ。昼のビール2杯にエスプレッソ、途中で一気飲みしたice tea、車中で少しずつ飲んでいたペットボトルの水、全部で1リットル以上あると思うけど、20:00にホテルに着くまで、トイレに行きたいとは一度も思わなかった。肌から蒸発してるのを実感する。だって本当に乾くもの。太ももの裏が汗でぐっしょり。車はサウナ状態。冗談でありそうだ、と思っていたサボテンが本当にあった。ただこの辺は川が流れているから、砂漠よりましかも。

 

コラム:ポルトガルワイン

ポルトガルはワイン王国と言ってよい。酒の神バッカスが登場するローマ神話を信奉するローマン・カソリックの文化圏では、ワインは生活の中に深く根付いている。加えて、ぶどう栽培に適した気候や土壌がある。

いまや日本でもワインブーム。輸入ワインの中で、ポルトガル産は消費量第9位だそうだ。

←馬鹿!?と思って何気なく買ってしまったポートワイン。

日本に初めてワインをもたらしたのが、ポルトガルであった。そして、日本人で初めてワインを飲んだとされているのが、織田信長。彼の飲んだ『珍陀酒』とは、ポルトガルの赤ワインだというのが有力説だという。さらに、明治維新後、戦前戦後までよく飲まれた『赤玉ポートワイン』。ポートワインとは、食前酒として人気の、甘口のアルコール強化ワインである。ポルトガルの北部の都市、ポルトが生産地。ポルトガルの島、マデイラのマデイラ・ワインも強化ワインとして有名。他に、国外ではとても有名なマテウス・ロゼもポルトガル産。さらに、気軽に楽しめるワインとしてお薦めなのが、ヴィーニョ・ヴェルデVinho verde(緑のワイン)という種類のセミ・スパークリングワイン。アルコール度数も低く、さっぱりとしているので、気軽にさらさら飲めてしまう。暑い夏に冷やした白のヴィーニョ・ヴェルデが最高である。

 

 

<ポルトガル概要> <リスボンその1> <リスボンその2> <ロカ岬> <シントラ> <オビドス> <ナザレ> <バターリャ−ポルト> <ギマランエス> <アマランテ> <グァルダ> <エルヴァス> <エヴォラ> <モンサラース> <モウラ> <サグレス−サン・ヴィセンテ−プライア・ダ・ロシャ−リスボン>

TOMBOY home > 旅行記 海外編 > ポルトガル概要 > モンサラース/モウラ

<このページの最終更新日:00/10/31>